南山大生は生理についてどれくらい知っている?~UniVoの理解度アンケートから見えたこと【前編】~
記事の概要
南山大学の学生団体UniVoが、南山大生を対象に「生理に関する理解度チェックアンケート」を実施しました。
今回のアンケートには、424名の南山大生が回答。生理に関する基本的な知識、生理用品設置への意識、性教育やワークショップへの関心など、さまざまな声が集まりました。
生理は、特定の人だけに関係するものと思われがちです。しかし、授業、サークル、アルバイト、友人関係など、大学生活のさまざまな場面に関わるテーマでもあります。
今回は、UniVoさんへのインタビューをもとに、アンケートの背景や結果から見えてきたことを伺いました。
目次
Univoとは?
まず、UniVoさんはどのような学生団体ですか?
私たちは、「“つながり”を力に」をスローガンに活動する南山大学の学生団体です。
「今の私たちだからこそできることはないか」「ただ受け身で過ごす大学生活ではなく、自分たちの手で社会にポジティブな影響を与えたい」という考えのもと、昨年9月に発足しました。
活動の主軸は、女性支援と外国人支援です。
女性支援では、誰もが快適に学生生活を送れるよう、学内の主要トイレへの生理用品設置に取り組んでいます。この活動は、今年度の南山チャレンジプロジェクトにも採択されています。
外国人支援では、在日アフガニスタン人のご家族への日本語学習サポートや、積極的な文化交流を行っています。
「UniVo」という団体名には、どのような意味が込められていますか?
「UniVo」は、「Universal Voice」の略称です。
世界には、人種や性別もさまざまな人がいます。そういった多様な人たちの声を集めて、反映させていきたいという思いが込められています。
なぜ、生理に関するアンケートを実施したのか
UniVoさんは、学内での生理用品設置活動を進める中で、生理が多くの学生にとって身近な不安要素であることを実感したといいます。
一方で、生理の話題は友人同士でも話しづらく、男性側にも「関心はあるが、知識がなく、どう関わればよいかわからない」という声があったそうです。
今回、「生理に関する理解度チェックアンケート」を実施しようと思ったきっかけを教えてください。
昨年行った、学内での生理用品設置のニーズ調査や、実際の設置活動を行う中で、多くの女子学生にとって「生理」が学生生活の大きな不安要素になっていることを実感しました。
しかし同時に、友人同士でも話題にしづらいという、タブー化された風潮も根強く残っています。
さらに、学内外での意見交換を通じて、男性からも「関心はあるし力になりたいけれど、知識がないためハードルが高い」という率直な声を多くいただきました。
こうした経験から、まずは女子学生が直面している困りごとや環境を、客観的なデータとして可視化することが必要だと考え、今回のアンケートを企画しました。
あえて性別を問わず実施することで、回答者自身に「意外と正しい知識を知らないかもしれない」という気づきを得てもらうとともに、男女間での理解度の差を検証し、今後の学習機会の提供につなげたいという考えから、このアンケートを実施しました。
アンケートでは、主にどのようなことを知りたいと考えていましたか?
主に、以下の7点を知りたいと考えていました。
1つ目は、性別を問わず、学生にどれだけ生理への理解度や知識量が備わっているのか。
2つ目は、性別によって回答やデータにどれだけの差が生じるのか。
3つ目は、女子学生が生理や生理用品の入手において直面する具体的な困りごとと環境。
4つ目は、生理をタブー視する風潮の有無と、話題への抵抗感。
5つ目は、男性側の生理や生理用品への関心度や率直な意見。
6つ目は、生理用品のインフラ化への学生の意識。
7つ目は、生理や性教育などの教育機会の提供に対する学生の参加意欲です。
アンケート概要
今回のアンケートの実施概要を教えてください。
実施時期は、5月15日から5月22日です。
回答者数は424名で、主な対象者は南山大学に通う全学生です。
質問数は15問程度で、回答方法はGoogleフォームでした。QRコードやリンクから回答していただく形で実施しました。
また、アンケート作成にあたっては、産婦人科医の方や起業家の方などに監修をいただきました。
生理用品の設置には、男女ともに肯定的な声
今回のアンケートで特に印象的だった結果の一つが、学内トイレへの生理用品設置に関する意識です。
生理用品をインフラとして設置すべきか・女性(324件の回答)

生理用品をインフラとして設置すべきか・男性(100件の回答)

アンケート結果の中で、特に印象的だった結果を教えてください。
男女ともに、生理用品のインフラ化については、ほとんどが肯定的な意見だったのは予想がついていました。
一方で、「生理や性教育に関する講演やワークショップがあれば参加したいと思いますか?」という設問に対して、女性よりも男性の方が意欲的な傾向が見られたことに驚きました。
また、男性から生理や生理中の女性に対しての率直な意見が聞けたのも印象的でした。
生理用品の設置に関する結果からは、どのようなことが見えてきましたか?
学内への生理用品の設置、いわゆるインフラ化に関しては、男女ともに9割近くが肯定的な意見でした。
私たちの活動への理解と、需要の高さが証明される結果になったと感じています。
一方で、これを大学全体の恒久的な仕組みとして定着させるためには、「ただ欲しいから設置する」という段階から一歩進む必要があります。
学生が金銭面、環境面、精神面で具体的にどれほど困窮・困惑しているのか、多角的な視点から必要性を裏付ける、さらなるデータ集めとアプローチが必要だと実感しています。
突然生理が始まったとき、何が起こるのか
アンケートでは、生理用品を持っていない状態で突然生理が始まった場合に、どのようなリスクがあると思うかについても質問されています。
突然生理が始まった際のリスク・女性

突然生理が始まった際のリスク・男

回答では、服への汚れの染み出し、講義を抜けざるを得ない状況、精神的な不安などが挙げられました。
女性側では、こうしたリスクを具体的に想像している回答が多く見られました。一方で、男性側にも同様のリスクを認識している回答がある一方、「あまりイメージが湧かない」という回答も一定数見られました。
この差は、単に知識があるかどうかだけではなく、実際にその状況を経験するかどうかによって、想像のしやすさが変わる部分でもあります。
基本的な知識はある一方で、理解に差がある部分も
生理に関する基本的な知識については、男女間で大きな差が見られない項目もありました。
一方で、PMSや低用量ピル、生理用品がない状態で突然生理が始まった際のリスクなど、より実感に近い部分では、理解に差が見られた項目もあります。
PMSを知っているか・女性

PMSを知っているか・男性

結果から、南山大生の生理に関する理解について、どのような傾向が見えましたか?
まず、知識がある部分としては、生理の平均日数や、生涯にかかる費用について、男女間で大きな差は見られませんでした。
男性も、しっかりと正しい知識を持っている傾向が見られました。
また、学内への生理用品の設置、つまりインフラ化に関しても、男女ともに9割近くが肯定的な意見でした。私たちの活動への理解と需要の高さが証明される結果となりました。
一方で、不足している部分も見えてきました。
男性側では、生理前のつらい症状、いわゆるPMSの認知にばらつきがありました。また、学校ではあまり習わない低用量ピルの知識や、生理用品がない状態で突然生理が始まった際のリスクへの具体的なイメージが湧きにくい傾向も見られました。
女性側では、想像以上に多くの学生が毎月鎮痛剤を服用して耐えている一方で、産婦人科への相談経験がある人は少ないことがわかりました。つらくても病院に行く心理的なハードルが高く、自己解決で我慢してしまう現状がうかがえます。
「学びたい男性」と「発信をためらう女性」
今回のアンケートで見えてきたもう一つの重要な点は、生理について「学びたい」と思う男性がいる一方で、女性側には「話題にしづらい」「相談しづらい」という心理的なハードルがあることです。
生理についてもっと知りたいか・男性

アンケート結果から見えてきた課題はありますか?
大きく3つあると考えています。
1つ目は、「生理のタブー化」による、女性側の孤立と相談しづらさです。
多くの女子学生が毎月のように症状に悩み、鎮痛剤を服用して耐えている一方で、産婦人科などの専門機関に相談したことがある人はごくわずかでした。
「生理の話題は友人同士でも避けがち」という風潮が根強く、つらくても「これくらいで病院に行くのは大げさだ」「自分だけで我慢すればいい」と心理的ハードルを抱えて、一人で抱え込んでしまう現状は大きな課題だと感じています。
2つ目は、「学びたい男性」と「発信をためらう女性」のギャップです。
男性側からは、「パートナーや周囲の女性のために、自分ができるアクションや正しい接し方を前向きに学びたい」という声が多数寄せられました。
しかし同時に、「女性側がデリケートに扱っているため、どこまで踏み込んでいいかわからない」「女性側が発信をためらう心理的な理由を知りたい」という意見もありました。
男性に寄り添う気持ちがあっても、お互いの遠慮や心理的ハードルのせいで、必要な知識やサポートがうまく循環していないというすれ違いが起きているように思います。
3つ目は、「生理用品のインフラ化」を裏付ける、より具体的な根拠の必要性です。
学内環境の面では、男女ともに9割以上の学生が、学内トイレへの生理用品の設置に肯定的な意見を持ってくれていることがわかりました。
ただ、これを大学全体の恒久的な仕組みとして定着させるためには、学生が金銭面や環境面、精神面で具体的にどれほど困っているのか、より多角的な視点から必要性を裏付けるデータ集めとアプローチが必要だと感じています。
反対に、前向きに感じた結果や希望を感じた点はありますか?
男性側が、想定以上に生理に対して理解しようとする姿勢を見せてくれたことです。
今後のUniVoの活動として、生理や性教育を題材にしたワークショップをしたいと考えていたのですが、この結果により、本格的にワークショップやイベントの開催を企画し始めました。
生理や性教育について、学ぶ機会を求める声も
アンケートでは、生理や性教育に関する講演やワークショップがあれば参加したいかについても質問されています。
講演・ワークショップ参加意欲・女性

講演・ワークショップ参加意欲・男性

回答からは、関心はあるものの、参加には一定のハードルがあることも見えてきます。特に男性側からは、生理についてもっと知りたいという声や、具体的にどう関わればよいのかを知りたいという声が寄せられました。
生理について学ぶことは、特定の誰かのためだけではありません。友人、恋人、家族、同じ大学で過ごす人たちと、互いに安心して関われる環境をつくるための一歩でもあります。
アンケートから見えてきたこと
今回のアンケート全体を通して、南山大生に伝えたいことはありますか?
生理は、症状や状況によっては学業に支障をきたしたり、心身の健康を脅かしたりするリスクがあります。
だからこそ、女子学生が一人でタブー視して抱え込みすぎず、いざという時には産婦人科や学内の保健センターへ迷わず頼れるようになることが大切です。
そのためには、デリケートな話題だからと遠ざけるのではなく、一人ひとりが「自分は正しい知識を持っているだろうか」と一度振り返ってみることが、学内の風潮を変える第一歩になると考えています。
性別を問わず、お互いに自然に支え合える関係を築き、大学全体としても、誰もが安心して過ごせる環境を整えていくことが理想です。
私たちUniVoも、男女双方の生理や生理用品への理解が深まるよう、これからも正しい情報を提供し、誰もが頼り合える温かい学内環境づくりに努めていきます。
後編では、UniVoの活動と今後の取り組みを紹介します
今回のアンケートからは、学内トイレへの生理用品設置について、男女ともに肯定的な意見が多いことが見えてきました。
また、生理に関する基本的な知識を持つ学生がいる一方で、PMSや低用量ピル、突然生理が始まった際の具体的なリスクなど、より実感に近い部分では理解に差があることもわかりました。
そして、生理について「もっと知りたい」と思う人がいる一方で、「話題にしづらい」「相談しづらい」と感じる人もいます。
大切なのは、誰かを責めることではありません。知らなかったことを知り、話しづらかったことを少しずつ考えられるようにすることです。
後編では、今回のアンケート結果を受けて、UniVoがどのような活動を進めているのか、そして今後どのような取り組みを予定しているのかを紹介します。
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